PM @ Roppongi

六本木でアプリのプロダクトマネージャーをしています。日々の学びや経験を残していきます。渋谷 -> 六本木 -> ロンドン -> 六本木

イギリスのカード事情① - デビットカード/コンタクトレス

前回の記事を書いてから2ヶ月近く経っていました。
天気もどんよりした日が多くなってきており、加えて日照時間が短いので*1、日光が恋しくなります。街のライトアップが綺麗になる時期でもあるので、それはそれでまた良いのですが。

f:id:masao9667:20171105023911j:plain

今回から数回に分けて、イギリスのカード事情について触れられればと思います。

  • 今回: イギリスのカード事情全般
  • 次回: Monzo - 流行りのプリペイドカード
  • 次々回: イギリスのクレジットカードを作ってみる

カード = デビットカード

日本ではカード支払いというとクレジットカードが真っ先に思い浮かびますが、イギリスではデビットカードがカード支払いの中で最も一般的です。

クレジットカードが後払い決済に対して、デビットカードは紐づく銀行口座を介した即時決済です。小切手による決済の代替手段として登場しました。*2

イギリスで普及しているカードは以下の4種類に分けられます。発行されている総カード数に対する割合も付記しています。

  • デビットカード: 5~6割
  • クレジットカード: 3割
  • キャッシュカード (ATMカード): 1割
  • チャージカード*3: 1割以下

イギリスで発行されているカードの半分以上はデビットカードです。実数で言うと約5,110万枚の発行で、これはイギリスの成人の96%が所持していることになります。*4

もっともデビットカードはキャッシュカードの機能も兼ね揃えており、銀行口座を開設するとキャッシュカードとして与えられる場合がほとんどなので成人の大半が所持しているというのは当たり前といえば当たり前ですね。

f:id:masao9667:20171105024141p:plain
(Source: UK Card Payments 2017)

上図は近年のイギリスにおける各種カード数の推移です。やや鈍化傾向ではあるものの、デビットカードのシェアは今後ももう少しは伸びていくかもしれません。ちなみに2014年にATMカードが顕著に減少していますが、これは一部の銀行などがATMカードをサポートしなくなったためのようです。

進むキャッシュレス化

イギリスはアメリカと同様にカード社会の国として有名です。
2016年の年間小売売上高はおよそ3,880億ポンド(57.8兆円)で、支払い方法の内訳で見てみるとデビットカードによる支払いが53%、クレジットカードは24%、残りが現金や小切手による支払いで、カード支払いという括りで見てみるとなんと77%という驚異の割合です。*5

マーケットなどで見かける露店の一部などを除けばほぼ全てのお店でカード支払いができるので、財布もコンパクトで済みます。カード払いのみのお店もちらほら見かけます。
日本ではドトールなどの大手カフェでさえクレジットカードが使えなかったりしますよね・・・

参考までにアメリカは支払いのだいたい50~70%がカード*6でイギリスと同様にキャッシュレス化が進んでおり、対して日本は10~20%*7でまだまだ現金での支払いが多い状況です。

ちなみに北欧ではイギリスやアメリカを差し置いて更にキャッシュレス化が進んでおり、現金の使用率が5%を下回る国もあるようです。*8

あとは最近中国がスゴいですよね。ただただ行きたい。日本にいるときに行っておけばよかった・・・

進むコンタクトレス化

f:id:masao9667:20171105025622p:plain:w300

日本でもSuicaなどの非接触型ICカードがありますが、イギリスではデビットカードやクレジットカードにこの機能が付いているケースが多いです。

f:id:masao9667:20171105032256p:plain

THE UK CARDS ASSOSIATION: UK Card Payments 2017によると、現在ではデビットカードの3枚に2枚、クレジットカードの2枚に1枚がコンタクトレス機能を持っているようです。
前年度の報告では、デビットカードの2枚に1枚がコンタクトレスだったとのことでまだ伸びていますね。

日本でもよく見かけるクレジットカードを挿し込む端末にコンタクトレス機能がついており、カード所持者は端末にカードをかざすだけで決済が完了します。PINを入力する必要がないため、一瞬で決済が完了します。*9

iZettleなどのより見た目がモダンな端末もよく見かけます。(Squareを使っているお店はまだ見たことがない・・・)

またロンドンのバスは現金は一切使用できないため、必然的にコンタクトレスカードを使うことになります。*10

まとめ/雑記

  • イギリスのカード支払いはデビットカードが主流
  • キャッシュレス化が進んでおり、ほとんどのお店でカード支払いが可能。カード払いしか受け付けないお店も
  • デビットカードとクレジットカードのコンタクトレス化が進んでおり、支払いがスムーズで非常に楽

イギリスやアメリカに観光、出張で何度か訪れてカード支払いに慣れてしまったため、最近では日本でも額を問わず常にクレジットカードを使うようになっていました。ただ日本だと未だに受け付けないお店も多いため、早くキャッシュレスが浸透してほしいなと切に願うばかりです・・・(個人間決済は日本でも面白くなってきましたけどね)

f:id:masao9667:20171105023434j:plain
全然ブログの内容とは関係ないですが、先日お気に入りのRichmondに行ったのですが紅葉が綺麗でした。

*1:最も短い12月は16時前にはもう暗いです

*2:イギリスにおけるデビットカード利用の急伸について

*3:一括後払いだけが許容されているカード。クレジットカードに似ている。

*4:THE UK CARDS ASSOSIATION: UK Card Payments 2017

*5:THE UK CARDS ASSOSIATION: UK Card Payments 2017

*6:ケースによって利用率は異なるため。ソースはこちら。全体として考えると6割くらいでしょうか。

*7:ちょっと古いですがこちら

*8:PRESIDENT Online: 世界で加速する「キャッシュレス革命」

*9:ただし一度に取引できる額が決まっていることが多い(£30程度)

*10:クレジットカードやデビットカードのほかにOyster Cardなどのプリペイドカードが使用可能です