イギリスのカード事情② - Monzo: 流行りのプリペイドカード
先日、髪を切りに行ったのですが、お店が突如移転して切ることができませんでした。
店頭で予約していたにも関わらず何も連絡なしに・・・適当笑
Treatwellで見つけて行き始めた場所で、家からも近くカットも上手で気に入っていたため残念です。
結局、代わりの場所を再度Treatwellで探してカットしてきました。Treatwellは、日本でリクルートが展開するホットペッパービューティーみたいなものです。二年前くらいに欧州のリクルートが子会社化しました。*1
ホットペッパーはサービスで予約してお店で支払いですが、Treatwellはアプリ上でも支払いができます(カード支払い/PayPal支払い/現地払いのいずれかを選択)。
イギリスにおいてカード支払いの際に、筆者が頻繁に利用するのが今回紹介するプリペイドカードのMonzoです。
Monzo - 流行りのプリペイドカード
プリペイドカードとしてのMonzo
Monzoは、アプリからお金をTopUp(チャージ)してデビットカード/クレジットカード同様にカード支払いに利用できるプリペイドカードです。日本だと似たサービスとしてLINE Payカードがあります。
2016年3月にPublic Beta版がローンチし、ロンドンを中心に話題になっています。以下に公表されているユーザー数とトランザクション額の推移をまとめてみましたが、順調に伸びているように見えます。あくまでも平均ですが、2017年5月時点でユーザーあたり£1,250の消費ってなかなかじゃないでしょうか。
- 2016年3月:300ユーザー/150万ポンド*2
- 2016年10月:5万ユーザー/4500万ポンド*3
- 2017年1月:10万ユーザー/1億ポンド*4
- 2017年5月:20万ユーザー/2.5億ポンド*5
銀行としてのMonzo
本記事では"プリペイドカード"としての機能を中心にMonzoを紹介していますが、今年の12月には正式にATM(銀行)カードとしてアップデートされました。これによって、Monzoは銀行と変わらないサービスを提供できるようになりました。具体的には以下の機能や内容が追加されています。
- ユーザーごとにSort codeとAccount numberを付与 (口座番号のようなもの)
- 他行への振込が可能に。逆も同様
- お給料をMonzoの口座に振込指定、といったことも可能に
- 口座引き落としが可能に
- FSCS protection(ペイオフ)の適用対象に (銀行が破綻したときの保険のようなもの)
利用方法
(普通口座化の前のスクショなので少し古いです)
MonzoのアプリはApp Store, Google Play Storeのいずれにもあります。
サービスに登録して最初のTopUpが完了すると5営業日以内でカードが送られてきて、デビットカードやクレジットカード同様に店舗やオンラインでMonzoを使ったカード支払いが可能になります。TopUpはイギリス国内で発行されたデビットカード、もしくはそのカードを使ったApple Pay/Android Pay/銀行振込によって行います。
何が便利なのか
ただのプリペイドカードだと『TopUpが面倒。デビットカードやクレジットカードでいいのではないか。』と思われる方もいらっしゃるはずです。しかし、利用者が増えてきているということは、それだけ提供されているサービスが便利だからとも言えます。
そこで筆者がこれまでMonzoを使ってきて便利だと感じたポイントを以下に挙げてみます。
取引の可視化 = お金の管理が容易に
Monzoは物理的なカードとアプリが強く紐付いているサービスです。Top upをしたいときはアプリから行う必要があるのはもちろん、カードを使って決済した取引は全てアプリに通知/記録されます。銀行のデビットカードやクレジットカードは取引の反映が遅いことが多いのでこれは非常に助かります。
ちなみに記録される内容は以下の4つです。
- 決済額
- お店の名前
- お店の位置情報
- サービス属性 (外食、交通、買い物、など)
位置情報やサービス属性は、決済端末に入っているのでしょうか?
大半の決済でそれらの情報も正確に記録されます。
これにより、月にどの属性でいくら使ったのかを把握できるようになります。決済サマリはアプリ内で確認できます。
悪用防止に有効
可視化によって、自分以外が使った取引が一瞬で分かるという恩恵を受けられます。大半の取引はカードで決済した直後に通知が来ます。そこで覚えのない取引があれば、アプリからカードの使用を一時凍結することもできます。
またプリペイドカードの利点として、TopUpした額しか使えないというのも悪用の防止という観点では非常に有効です。給料振込みに使っている銀行口座のデビットカードを持ち歩いて盗まれたりしたら大変ですからね。。。
外貨取引手数料がとにかく安い
国外で発行されたクレジットカードを使って決済をすると、その度に外貨取引手数料*6が引かれています。Monzoはこの外貨取引手数料のレートが極端に低いです。
そのため、筆者はイギリスから(日本を除く)海外旅行をする際にも、クレジットカードやデビットカードの代わりにMonzoを使って決済をしています。
また、ATMでの外貨引き出しも月に£200までは手数料がかかりません*7。例えばスペインに旅行する際には、基本的にカードで決済して、必要なときにだけユーロ紙幣をATMで引き出すことで、手数料を無駄に取られないように工夫することもできるわけです。
割り勘機能
日本ではLINE Payやペイモ、Kyashといったサービスが割り勘機能を提供していますが、これと同じような機能がMonzoにもあります。
Kyashと同様で、サービスにまだ登録していない人に対しても支払い請求が可能です。
カード別々払いを許容しているお店もありますが、お互いに面倒くさいので一人がとりあえず支払ってから後ほど割り勘という場面も多いので重宝します。
類似サービスについて
Monzoの他にRevolutという同じようなサービスがあります。
www.revolut.com
Monzoは銀行としての機能をベースにサービスを拡充させているのに対して、RevolutはTopUpしたお金を使ってサービス内で様々な取引を実現させるように動いているようです。(例えばCryptocurrencyの取引や保険の加入など)
MonzoがプリペイドカードからATMカードに切り替えた際に、一時的にApple Payが利用できず使い物にならなかったため、Revolutにも登録しました。感想としては以下のとおりです。
- クレジットカードでTopUp可能(日本のクレジットカードも使えます)*9
- カードの配送料を取られるのはツラい(Monzoは無料)
- カードのデザインがMonzoよりもかっこいい*10
- その他はMonzoと特に変わらない
まとめ
Monzo:
- アプリからお金をTopUpして決済に使用するプリペイドカード
- アプリで取引の可視化されるため、お金の管理が容易になる
- 取引がすぐに通知されるため、悪用防止に有効。いざとなればアプリから凍結できる
- 外貨取引手数料が安いため、海外でも重宝する
- 日本のLINE PayやKyash同様に割り勘機能があり、サービスを使っていない人にも請求できる
- ジョイントアカウント(夫婦共同名義の口座)の代わりとして使える
プリペイドカードと聞くと、予めお金を入れておく面倒臭さが先行してどうも使う気にならなかったのですが、Monzoを使いはじめてから考え方が一気に変わりました。カスタマーサポートの対応も早く、何か問題があってもストレスなく使えるので素晴らしいです。今後スケールする中で対応のスピードや質の担保に課題が出てくるかもしれませんが、どう手を打ってくるかは注目&参考にしたいです。
前回はイギリスのカード事情全般、今回は流行りのプリペイドカードについてを紹介しました。次回はクレジットカードについて紹介します。
*1:欧州の美容オンライン予約サービス「Treatwell」を展開するTreatwell社の株式の取得(子会社化)のお知らせ | リクルートホールディングス - Recruit Holdings
*3:Monzo valued at £50 million in 'interim' £4.8 million funding round - Business Insider
*5:Monzo – 200,000 Customers and £250,000,000 Spent!
*6:カード会社や銀行にもよりますが、約3%と言われています
*7:2018年1月4日まではいくら引き出しても無料
*8:申請を通すかの判断基準は銀行や支店によって、更には対応する人によって左右されるといいます・・・
*9:ただし、TopUpのたびに手数料がかかります
*10:有料のPremiumプランに登録すると数種類のデザインから選べるようです