PM @ Roppongi

六本木でアプリのプロダクトマネージャーをしています。日々の学びや経験を残していきます。渋谷 -> 六本木 -> ロンドン -> 六本木

これからの時代に外国語を学ぶ/教える意義について考えてみる

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写真は本記事とは特に関係ないです。あと一ヶ月でウィンブルドンだなーということで去年撮った写真です。Centre Courtの最前列でフェデラーナダル、S・ウィリアムズの試合を観られたのは良い思い出

あと一週間で2ヶ月の育休が終わりを迎えます。
成長著しい娘の姿を毎日見られることが嬉しい一方、そんな日々もあっという間に過ぎ去ってしまうという虚しさもあり、やや複雑な気持ちです笑

さて、今回は自身の経験を基に、将来翻訳/通訳によって代替されうる外国語習得の意義について、考えをまとめてみました。外国語を学ぼうとしている方、教えようとしている方にとって少しでも有益な情報になれば何よりです。

なお本記事では、外国語 = 英語としています。私には英語の経験しかないためです。
その他言語について、本記事に述べていることが必ずしも当てはまるわけでは無いと思うので、予めご了承ください。

キッカケ:英語を学ばなくて良い時代になるかも

先日、前職で関わりのあった方々と久しぶりに食事をご一緒した際に、産まれた娘の子育てについて話す機会がありました。

私は、これまでの仕事を通じて培ってきた英語*1を、できる限り娘に話す/教える機会を作っていきたいと話しました。外国語習得による可能性の幅の広がりは、昨今Twitterなどでも色んな方が述べています。まさにそれらの意見と一緒で、私も親として娘に提供できると思っているからです。

すると、それを聞いていた一人がこう言うのです。*2

子どもが成長した10年・20年先、高精度な同時自動通訳が出てきてもおかしくない。わざわざ英語を学ばなくて良い時代になるかもしれないのに、教える意味はあるのか?

たしかにそうだと思いました。現にGoogleアシスタントは会話を通訳してくれるようになりましたGoogle先生に英文を突っ込んで翻訳を依頼することが日常茶飯事な方も少なくないはずです。上記のような時代は着実に近づいてきているのは事実なのです。

それでも私の答えは『教えるべき』でした。

だいぶお酒も入っていたので、その時うまく言語化できていたかどうか微妙ですが、以下の3つが理由として挙げられます。

  • 伝え方にメリハリがつくようになる
  • 自動通訳にも限界があり、結局どこかしらで人間の言語処理が必要になる
  • 目の前の相手を100%理解する純粋な楽しさがある

ここから先は、これら3つの理由についてもう少し詳しく述べます。

意義1:伝え方にメリハリがつくようになる

これは日本人が英語を学習したとき、特にEnglish Speakerと会話するようになってから感じることです。

日本人の多くは、今現在も起承転結のお作法で育っていることもあり、結論は最後に述べることが良いとされている風潮があります。*3

ところが英語は逆です。結論ありきで詳細が論じられます。

例えば、

"Are you free this weekend?" (今週末は暇ですか?)

と聞かれると、日本人の場合は『親と買い物の予定があるから、暇じゃない』という答え方をするはずです。
『暇じゃない。親と買い物の予定があるから』という答え方をする人はあまりいないのではないでしょうか。

後者は英語的な回答です。もっと言えば『暇じゃない』だけの場合もあります。そこから質問者が理由を聞くという流れです。さすがにプライベートの理由まで突っ込んで聞くかというと微妙ですが、例があんまり良くなかったということで・・・笑

この違いを理解していてこそ、言語に応じた適切なコミュニケーションが取れると考えており、こと日本人においては英語的な結論ありきのコミュニケーション能力を取得することによって、メリハリのある伝え方ができるようになります

ちなみに、上記の言語間の違いを考慮せずとも自動通訳はできるはずですが、お互いの文法を知らない状態で通訳を介して話すと、ぎこちないコミュニケーションになる可能性があります。

日本人が『今週末暇ー?』と聞いて、相手が『暇じゃない』と答えるだけだとぶっきらぼうに感じちゃいますよね。

逆も然りです。English Speakerからしてみると『Yesなの?Noなの?結論は?』となるはずです。日本のビジネスパーソンにとってはお馴染みの質問ではないでしょうか? これがビジネスパーソンになる前から使い分けができるようになっていると、日本人としてはひとつの武器になりますよね。

意義2:結局どこかしらで人間の言語処理が必要になる

Google翻訳が常に完璧ではないように、会話の自動通訳も常に完璧な状態ではいられないと考えています。*4

そんな状態で、会話や議論が衝突したり停止するとどうなるでしょうか?別の言い回しで伝えるなど手を打つ方法はありますが、結局人間の言語処理のほうが速さ、クオリティともに有利になるはずです。

私は自動通訳をクルマの自動運転のレベルと同じように考えています。
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参照元自動運転 もろ刃の先陣 アウディ、市販初の「レベル3」 :日本経済新聞

自動通訳もレベル3くらい、つまり緊急時は人の言語処理が必要になる段階、までは将来訪れそうですが、コンテキストによって変化する文法や単語があるなど、クルマ以上に細かい処理パターンが多いでしょうしその先の完全自動通訳はなかなか難しい気がしています。この辺り詳しい方がいたらお話聞きたいです。

クルマの自動運転レベル3の定義は、『条件付きの自動運転。緊急時をのぞき運転を車に任せる』です。クルマの場合でも緊急時には人が操作する必要があり、そのためにはクルマを運転するスキルや資格が必須です。

自動翻訳の場合も同じで、外国語を話せる土台があって初めて自動翻訳を最大限活かせるものだと思っています。

意義3:目の前の相手を100%理解する純粋な楽しさ

相手の生の声を理解する喜びというのは、恐らく通訳での代替は難しいでしょう。これは機械を介した通訳に限った話ではありません。

スポーツにおけるヒーローインタビューの通訳を聞いていて、味気なさを感じたり、盛り上がりに欠けたことがあれば、上記の意味がお分かりいただけるかと思います。

終わりに

以上のような考えがあり、まだ0歳2ヶ月の娘を相手にたまに英語を話している筆者です笑
現時点で伝わっているかどうかは分かりませんが、将来どういう形かで今の取り組みが活きてくれればなぁとせつに願うばかりです。

あぁ、娘ホント可愛い・・・

*1:自分の英語力もまだまだ褒めたものでは無いので、今後より一層精進しなければ・・・!

*2:記憶を辿って書いているので、一言一句同じことを言われたわけではありません

*3:後述していますが、ビジネスパーソンは矯正をしている場合もあるので、上手く使い分けている人もいます。

*4:もちろん100%に近づいてはいくとは思いつつも、漸近線のように完璧には100%にはならないと思う